人生を変えた一冊。ダヴ・シードマン著「人として正しいことを(原題 「HOW」)」

いわゆる“成功”とは程遠い状況にある自分が、人生を変えた一冊。なんて語るのはおこがましいが、自分の中に1つの軸のようなものをつくってくれた1冊がある。それが写真の本、ダヴ・シードマン著『人として正しいことを(原題 「HOW」)』海と月社 刊)だ。

表紙

裏表紙

ご存じの方も少なくないとは思うのだが、自分にとっては特別な1冊なので、この本について書きたい。

この本を手に取ったのは、多分(記録などを取らない人間なので)、2013年の5月頃だったと思う。

その時、私はあるプロジェクトのメンバーから途中で外されるという、人生で初めての経験をして、自分が認識している以上に落ち込んでいたのだと思う。そのプロジェクトに対して懐疑的だった(多分態度にも出ていただろう)こともあり、むしろ外されてよかったという気持ちもあったが、拒絶されるのはさすがにキツイ。

だから、六本木の青山ブックセンターでこの本に出会った時、思わず手に取ってしまったのだと思う。だって似合わないでしょう。

『人として正しいことを』ってタイトル。

自分をよく知る人物がこの本を手にとる瞬間を目撃したとしたら、

「おいおいど〜した〜?」と、声をかけていたはずだ。

しかし、いつもとは違う精神状態の私は、ごく自然にこの本を手に取っていた。そう、本に呼ばれたのだ。

内容を大雑把に(かなり大雑把に)言うと、

「世界の安定と持続可能な繁栄のために、人はどう行動し、組織はどうあるべきか(どのようにやるか=HOW)かが書かれている。

カバーの折り返し部分には

成功は、
成功することを願って
追い求めても手に入らない。
だが、意義を追求していると、
向こうからやってくる。

とあり、

“あること”をやったことで、医療過誤による訴訟や医療過誤自体を大幅に減少させた病院の話。

“あるやり方”で顧客との間に信頼関係を創り出し、常連を増やしてビジネスを安定させているコーヒーとドーナツを売るお店の話。

企業文化の4つの形態、①無秩序と無法(もはや企業とは呼べない)、②絶対的服従(工業化時代の多くの企業の在り方)、③情報に基づく黙従(20世紀の資本主義を支配した企業の在り方)、④価値観に基づく自己統治(今、多くが目指している企業の在り方)などが書かれている。

登場するエピソードも豊富だが、その中で特に気に入っているのが以下の部分。呑んだ時なんかに話題にすると、反応はすこぶるいい。

 

私は最近、ラスベガス行きの機内で、客室乗務員がいかにして乗客全員とつながりを築くかを目の当たりにした。私たちが降りる準備をしていると、スピーカーからこんな陽気なアナウンスが流れてきた。「お席のシートベルトを畳んでから機を降りられますと、カジノテーブルでの運気が上がるというのは、みなさまよくご存じのことと思います」。みんなが笑い、そして彼女が促した通りのことをした。
連邦航空局(FAA)の規則では、次の乗客を搭乗させる前にシートベルトを座席上に畳むことが義務づけられている。
(中略)
このようにして私たちとつながり、乗客を引き入れたことで、彼女は、規則を遵守し、飛行機の折り返し時間を短縮するという業務上の利点に加え(シートベルトを自分で畳めば六分かかる)、「実質本位、楽しい、安全、定時運行」というブランドの約束を守ることにも貢献している。

「人として正しいことを(海と月社 刊)」P25〜P26より引用

この本の濃密な内容を私の力で説明することは難しいのでこれ以上書かないが、私はこの本をすでに50冊近く(もしかしたらそれ以上?)仕事仲間や友人知人に贈っている。と言えば、どれほど惚れ込んでいるかは感じ取っていただけると思う。

もちろん、本の販売部数が50冊程度増えたとしても、私に金銭的なメリットなどない。

なのに、なんでそんなことを続けているかというと、この本を読む人が増え、多くの人が同じ価値観を共有できれば、世界がより良い方向に動くと信じているからだ。

少なくとも自分や共に仕事をするスタッフの考え方、仕事への取り組み方は大きく変わった。単に仕事を請け負うのではなく、経営者視点に立って(なんて言ったら偉そうだが…)、物事を考えられるようになった。

「じゃあ、働く喜びと利益の上昇スパイラルが生まれているのか?(写真の帯の言葉)」と聞かれれば、

「すみません…。今のところ道半ばと言った感じです(笑)」と答えるしかないが、この本に出会っていなかったら、私の今は、もっと悲惨なものになっていただろう。

自分にとって、まさに人生最良の1冊である。

幸いにも、感想文を出版社にお送りしたところ、社長が直々にお電話をくださり、編集者である奥さまと一緒に食事をする機会にも恵まれた。

以来、「海と月社」の新刊が出るたびに、お送りいただくようにもなった。

その本が、また、どれも素晴らしい!

それらの本の紹介は、更新頻度を上げることを目的に、また別の機会に。

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shoji
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