木下斉さんの『稼ぐまちが地方を変える』が訴えること!

この本について、書いている今、思い出すことが2つある。

1つは、40代のときに、姉から送られてきた重松清さんの『流星ワゴン』を読んだときのこと。

2つ目は、当時高校生だった息子が、部活でやっていたバスケットボールのことについて、話してくれたことだ。

人生の中で、自分に起こる99.9%の出来事は、自分のそれまでの行いの結果として起こる。

私は、そのことを40歳を過ぎてから、『流星ワゴン』を読んで自覚したのだが(まあまあ恥ずかしいよな…)、息子は18歳にして、部活のコーチの教えを通して知っていたのだ。

息子の試合の応援のために、得意ではない車の運転をし、神奈川県のさまざまな会場へ応援にいっていた頃、息子が発した言葉がそれを気づかせてくれて嬉しかった。

息子は、こんなことを言ったのだ。

「例えば、自分がパスを出したとき、それを取れないチームメイトを責めてはいけない。その人(のレベルや状況)を考えて、パスを出さなかった自分が悪いのだから…」

まあ、どうってことのない内容なんだけど、

「コイツは、あのことをちゃんと知っている」

少なくとも、なんでもかんでも他人のせいにするようなヤツではないんだな。と、嬉しくなったのを憶えている。

それ以来、私は、息子を尊敬している。ま、ちょっとだけど尊敬している。

あ、前置きが長くなってしまった。

大好きな本のことを書くんだった。

木下斉著『稼ぐまちが地方を変える ー誰も言わなかった10の鉄則ー』

オモテ面

裏面

この本は、一般社団法人エリア・イノベーション・アライアンスの代表理事であり、どうやら「内閣官房 地域活性化伝道師」という肩書きも持っているらしい木下斉さんが、「地方創生」の具体的な方法について書いた本だ。

この本の中で、木下さんが一貫して訴えるのは、まちを変えるのは、国でも県でも市でもない。そこに生きる自分たち自身なんだと言うこと。

そう、自分の身の回りに起こることの99.9%は、自分のこれまでの行いに対する結果として起こる。

悪いことが起こるのは、もちろん自分の責任だけど、逆に考えれば、自分の未来の鍵を握っているのは、いつだって自分自身なんだと、この本を読んで改めて感じた。

それなのに日本では、「まちづくりは税金でやってもらうのが当たり前」と考えている人が、今でも少なくないと、木下さんは言う。ある意味恵まれ過ぎている日本の状況が、そうした“甘え”を生み出しているのだ。

その元凶とも言えるのが、“補助金”だと木下さんは説く。

天から降ってくるお金によってお互いのエゴが出て、協力して行うべき取り組みも浅はかになっていく。

補助金が地域の活動を蝕んでいく様は、まさに“麻薬”だと木下さんはバッサリ。

「そんなものを当てにせず、自分たちで考えて、稼げる仕組みをつくろう!」というのが、木下さんの主張だ。

民間が稼いで「まちを再生する」その在り方を、木下さんはアメリカ視察の際に知ったという。

そもそもアメリカでのまちづくりは、官主導ではなく民間主導が普通。現地では不動産オーナーの誰もが積極的に、まちに投資をしている。

理由は、それが自分たちのアセット・マネジメント(資産運用)になるからだ。

そうした不動産オーナーたちの考えに触れた木下さんは、衝撃を覚えたという。

「誰が得をするのか」とか、「得するために地域に投資をするんだ」という視点で、まちづくりを考えたことが、それまでなかったからだ。

その後、木下さんはまちづくりを、“経営”という視点で捉えるようになっていく。知人の奨めでMBAを取得したのもそのためだ。

本書では、こうした木下さんの経験や考え方、まちづくりにおける取り組みに対する注意点などが語られている。

●結果が見えにくい“活動”ではなく、収益を前提とした“事業”として取り組むことが大切。

●事業なのだから失敗もあり得るので、最初に撤退ライン決めておくことが重要。

●1/3ルールを徹底(収益の1/3はまち会社運営費に、さらに1/3は投資した人の利益に、そして、さらなる1/3は、未来の投資のための投資資金に)する。

●投資より先に、前もって営業をしておくことで、現実的な収益を見込んでの無駄のない投資ができる。

●稼ぎが中央へ流出(本社のある大都市圏に税金が落ちる)してしまう全国チェーンなどの誘致は控える。

といった、「まち会社※」が収益を出していくための具体的な取り組みの、ポイントや注意点が「10の鉄則」として、紹介されていく。

※木下さんが、地域再生のために地元の人々と立ち上げる組織は、“まちづくり”といった、曖昧な概念のための「まちづくり会社」とは区別する意味で、「まち会社(まち自体が収益を生み出す事業体)」と呼んでいる。

まさに、まちづくりの実践的な指南書といった内容だ。

心から信じられる(血判レベルの信頼で結ばれた)仲間が2、3人いれば、まちづくりは始められる。

と、いう木下さんの言葉は、

前のブログで書いた江崎さんの著書『社会は変えられる』にあった、「3人いれば社会は変えられる」とも合致する。

どんな大きな変化も、最初はごく限られた人々の“熱”から始まるんだよな。と、この本を読んで改めて思った。

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コピーライター/クリエイティブディレクター
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