少し前のブログで書いた本の著者である村上敦さんは、ドイツ在住の都市計画・環境ジャーナリスト。前回のブログで書いた本の著者・木下斉さんは、まちの再生を“経営”という視点で捉えた、地方創世のプロフェッショナルだ。
私は、少し前から、この2人が手を組んだら、地方創世はきっとうまくいく。と、勝手に思っていた。いや、信じていた。ではなく、信じている。
本で読んだだけの浅い知識は、ツッコミどころ満載かもしれないが、自分の思ったことを書いてしまおう。
村上さんが、「キロワットアワーイズマネー: エネルギー価値の創造で人口減少を生き抜く」の中で、書いていた、
「まちのお金の決して少なくない部分が、電気の消費と引き換えに、どんどんまちの外へ出て行っている」
という説明に、何も知らなかった自分は意表を突かれた。と、同時にこう思った。
「でも、それって、それをなんとかできたら、かなりのインパクトなわけだよな?」
この本には、そうしたエネルギーによるお金の流出を抑える方法として、住宅や電気製品などの省エネ対策が、ドイツの事例をもとに事細かく説明されているわけだが、その究極の方法として、
「自分たち自身で電力施設を所有する!」
という方法が、事例をもとに書かれていた。
それを読んだ自分は興奮し、素直にこう思ったわけだ。
「日本も、これをやればいいじゃん!」
で、そんな施設ができたまちの様子を想像してみた。
自分たちが使う電気を、自分たちでつくって管理し、守っている人々の姿を。
太陽光なのか?風力なのか?地熱なのか?あるいは、これから開発される全く新しい方法なのかはわからないけど、そこにある再生可能エネルギーによる発電所(電気だけでなく、決して少なくない新たな雇用も生む)は、きっと地元の人々の誇りになるんだろうな。と、感じて嬉しくなった。
もちろん、太陽光パネルや風車の景観への影響は少なくないだろう。反射光や音の問題も考えなくてはならない。
でも、日本には優秀な建築家や技術者がいっぱいいるじゃないか。
まちの人が今までと違う未来を信じたくなるような、ステキな施設をきっとつくってくれるはずだ。
こうした村上さんの考え方に、木下さんの考え方をプラスするわけだ。
そもそも、村上さんと、木下さんの考え方には、大きな共通点がある。
それは、どちらもまず、まちから出ていく無駄なお金に注目する点だ。
木下さんが、熊本市のまちの再生を手がけるために設立した「熊本城東マネジメント株式会社」は、ゴミ問題に着目。
商店街の各店舗ごとにバラバラだった回収業者との契約を一本に束ねることで、業者との交渉力を上げ、さらに回収ルートも効率的に設計し直し、最終的には年間で総額170万円ほどのコストカットに成功している。
村上さんも、前述のエネルギーに関する話の他に、他の地域からの大手チェーン(税金が本部のある地域に流れる)などの流入を抑えることが大切だと、一貫して訴えていたし、
2人とも、出て行くお金にまずは注目するわけだが…
でも、これって、会社の経営という視点で考えると、ものすごく当たり前の話ですよね。社長って、まずは無駄なコストのカットから考えて行くのが普通だもん。
つまり、自分の会社という小さな単位で見ていくと自然に気になる点も、規模が大きくなって、自分たちのお金という感覚がなくなってくると、出て行くお金に無頓着になっちゃうんだな。と、改めて思った。ここに、いわゆる“しがらみ”も関係して、無用のハコモノとかが出来上がったりするのだろう…。
ちょっと脇道に逸れたが、
村上さんが推奨する「エネルギー対策」や「大手流入問題」に対する部分を行政がリードして進めつつ、木下さんが提唱する「稼ぐ民間」の力で、まちを活性化していけば、着実にまちはいい方向に向かうような気がする。
もちろん、簡単なことではないだろうし、時間もかかるのだろうけど…
そういえば、村上さんのFacebookを覗きにいったら、すでに木下さんとお友達のようだった。
2人の活動が、どんどん前に進むことを祈りたい。
欲をいえば、なんでもいいからお手伝いしたいなと思っている。お金はないけど、アイデアだけはあるので…。
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