「新しく工場を新設したいと思っています。その工場での製造品はすべて、20年間という長期にわたって、100%政府が法律で保証して買い上げることが決定しており、同時にその販売単価も決まっています。ここにそのビジネスモデルがあります。収益は確実に上がります。リスクは小さいです。お金を貸してくれませんか?」
これは、都市計画・環境ジャーナリストの村上 敦さんが書かれた、「kWh=¥ 〜エネルギー価値の創造で人口減少を生き抜く〜」の、145Pからの引用。
本書には、再生可能エネルギー政策に関するドイツの成果、それによる地方自治への好影響などが、ドイツ在住の日本人、村上さんの目を通して書かれている。
ここでいう工場とは、再生可能エネルギー発生装置のことだ。
私は、この本の存在を、同じく村上 敦さんの著書「ドイツのコンパクトシティはなぜ成功するのか」を読んで知った。
その本にも書かれていたのだが、地方自治体の多くは、エネルギーの消費(他にももちろんあるが)を通して、多くのお金が自治体の外に流れ出てしまい、財政を圧迫する一因になっているそうだ。
※理解が間違っていたらすみません。知っている方がいたら教えてください。
そのエネルギー消費によるお金の流出を止める、「エネルギーの自前化」ができれば、税収の少ない小さな自治体にとって、かなりのインパクトになるようで、ここを考えることも地方創成を本気で考える上で意義あることのようだ。
ここで大切なことがある。
再生可能エネルギーの発生装置が自治体内にできたとしても、それが外部資本によるものだったら、自治体への恩恵はなくなってしまうということ。
発電し、買電される電気がもたらす利益による税金が、自治体内に落ちないからだ(出資企業の本社がある場所の税金になる)。
ここは、自分たち自身の手で銀行から融資を受け、自分たちのエネルギー会社をつくり、自分たちで運営していくことが必要になる。
うーん。結構大変そうだけど、実現できると、保守点検のための会社なども必要になり、そこにも新た雇用が発生するのだから、検討の価値は大いにありそうだ。
実際、村上さんもさまざまな自治体に依頼され、講演されるそうなのだが、反応は…
「村上先生のお話はおもしろかった。今度はドイツに視察に行ってみたいですね」
と、口では言っても、
「○○は、県が(あるいは国が)やるべき仕事だ」
「そんなことを言われても、今の枠組みではできない」
と言った感じになってしまうらしい(泣)。日本、大丈夫か…
それでも、村上さんは、
しかし、同じところを繰り返し、繰り返し叩いているうちに、石に穴は開かないものの、窪みぐらいできるのでは、という気持ちで、本書を書いています。
(249Pから引用)
と、書かれている。
この本には他にも、ドイツの田舎町の過去の事例(これがステキ!)や、長野県飯田市の「なるほど…」と思わせる取り組みなど、これからの日本の自治体にとって大きな気づきとなる例が紹介されている。
そのことについて、また、何回かに分けて書きたいと思う。
投稿者プロフィール
-
コピーライター/クリエイティブディレクター
詳しくはこちら
最新の投稿
- 2024年2月19日未分類再開200日目(打ち合わせのため歩かず)
- 2024年2月18日未分類再開199日目
- 2024年2月17日未分類再開198日目(義母の病院のため休養)
- 2024年2月16日未分類再開197日目(作業を優先し中止)