あらゆる立場の人たちが学び集うためのネットワーク

7月11の水曜日に、『クラブヴォーバン』のセミナーに参加させていただいた。

以前のブログでも書いたが、『クラブヴォーバン』は、ドイツ・フライブルク市の“ヴォーバン住宅地” を模範に、日本国内で「持続可能な低炭素型のまちづくり」をめざす、あらゆる立場の人たちが学び集うためのネットワーク(場)だ。

この日のテーマは、「非住宅建築における環境デザインの現状とこれから」。

竹中工務店の神戸さん(意匠設計者)と粕谷さん(設備設計者)が、それぞれの立場から日本の非住宅建築の現状について語られた後、

それをまとめる形で、ドイツ在住の建築家、金田さんがドイツの非住宅建築について語られ、専門家である自分たち建築家が今後どうあるべきかについて提言された。

これらの方々の他にも、出席されていた多くの方々がそれぞれの立場から意見を発表され、積極的に、しかも和やかに議論を交わされるその様子は、まさに「あらゆる立場の人たちが学び集うためのネットワーク」という表現がぴったりの雰囲気だった。

内容的には専門的なものも多く、用語や数値など、正直わからない部分も少なくはなかったが、みなさんが危機感を持ち、本気で日本の現状を変えなければならない!と、強く意識されていることが伝わってきた。

中でも印象的だったのが、ドイツ在住の金田さんと、同じくドイツ在住の村上さん(以前のブログで紹介した本の著者であり、この『クラブヴォーバン』の代表)が、夏場に日本に帰国するたびに感じる建物内の温度差の話。

カフェなどで過ごす際、(断熱対策が不十分な)ガラスに近い席に座ると、ガラスに面している体の一部分だけが、ジリジリ暑くなる(つまり、そのガラス部分から貴重なエネルギーが無駄に失われているということだ!)のを感じて驚くのだそうだ。

それは、まさに「苦行」と言えるレベルの暑さだと、村上さんは冗談交じりにおっしゃっていた。

環境先進国・ドイツの常識に慣れ親しんでいるお二人からすれば、日本の今の状況(非住宅建築の省エネ対策)は異常そのもので、私たちはそれに慣らされ、異常が日常になっているんだと気付かされた。

金田さんのプレゼン資料に書かれていた言葉が印象に残ったので引用させていただく。

 

測定とは、感覚を蘇らせ、身体化させる行為。

 

これは、(断熱などの)設備の効果などを測定する際に、数値だけを見るのではなく、人間の肌感覚のようなものを研ぎ澄まし、感じることがとても大切(鈍感ではいけない)。ということを表現されているのだと理解した。

 

デザインとは、環境を把握し、整える行為だ。

 

デザインというと、形や色などを連想してしまいがちだが、それらを大切にするのと同じように、環境(省エネ対策など)も含めてデザイン(設計)するという意識を常に持つことが重要。ということを表現されているのだと理解した。

また、金田さんはお話の中で、こんな言葉も使われていた。

「われわれ建築家は、“環境の寸法”というものも持っていなければならない!」

これは、建築家が自分の中に感覚的に持っている、“広さや高さなどの寸法”と同じように、環境に対する自分の“モノサシ”を持ち、普段の仕事のさまざまな場面で活用していかなければならないということ。

(こうした意識が足りない設計者が設計を行うと、十分な環境性能を確保するための設備を組み込むことが難しくなるなどの不都合が起こることもあるらしい…)

 

セミナーの後、金田さん、そして代表の村上さんと名刺交換をさせていただくことができた。

その際、お聞きしたのが、こうした活動の重要性が一般の人々になかなか伝わっていかないということ。

「伝える」ということに関しては、自分にも何かできることがあるかもしれないので、考えていきたい。

今回、勇気を出して、無謀にもセミナーに参加させていただいて本当によかった。

いや、本当に勇気を振り絞って、参加させていただいたのだ。

だって、普通に考えれば…

「お前のような素人が顔を出したところで、なんの意味がある?」

と、いったところじゃないか!(少なくとも前の自分ならそう考えていたはず)

でもね…

参加してみないことには、何もわからないし、何も進まないし、何も変わらない。

わからないなりにも参加して、自分なりに考えることにも、それなりに意味はあるはずだと、今の自分は考えている。

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